生体腎移植

「腎移植を受けるまで」

【Q1】血液透析と腹膜透析と腎移植にはどのようなメリットとデメリットがありますか?
 血液透析腹膜透析腎移植
腎機能の代償程度 部分的で10%程度 部分的で10%程度 正常に近い
腎機能の代償時間 4時間×3回/週 連続的 連続的
内分泌機能 投薬で不完全だが代償 投薬で不完全だが代償 正常に近い
生活の制約 多い やや多い ほとんどない
社会復帰率 制約される 比較的よい 高い
食事・水分制限 強い やや多い 少ない
免疫抑制剤 不要 不要 不可欠
通院回数 3回/週 1回/月 1回/1~6カ月
出産 きわめて難しい きわめて難しい 可能
必要な手術 シャント造設 カテーテル留置 腎移植
10年以上の長期治療 可能 従来法では不可能 可能
問題点 長期透析合併症 腹膜炎(硬化性被嚢症) ドナーが必要
【Q2】腎移植は腎不全の治療法として優れているのですか?
腎不全治療法として腎移植は圧倒的にすぐれています。
ただし腎移植は、腎臓の提供者が必要になるという問題があります。
腎移植を受けることのできる条件は次の通りです。
原 則 腎移植と免疫抑制療法を安全に受けることができること
各 論 慢性および活動性感染症がない
悪性腫瘍がない(数年経過し治癒していれば可)
重大な臓器障害、活動性自己免疫疾患(肝硬変、膠原病など)がない
心臓や肺機能が手術に耐えられる(あれば治療し改善してから移植へ)
内服管理や自己管理が可能(きちんと服薬でき、提供された時腎臓を大切にできる)
【Q3】日本ではどれくらい腎移植が行われているのですか?
1年間の腎移植数は約1000件です。
腎移植件数は年々増加しています。
ただ、1年間に約3.7万人(2008年)の新規透析療法導入者があることを考えると、1年間の腎移植数が1000件程度しかないのは諸外国には例のない異常な少なさです。
宇和島徳洲会病院は年間40-50例の生体腎移植を行っており、国内では3番目の症例数です。
【Q4】海外ではどれくらい腎移植が行われているのですか?
日本の人口の約2倍である米国では年間約12000件の腎移植が行われています。
【Q5】なぜ日本では腎移植が少ないのですか?
日本の腎移植は、成績に関しては、移植先進国である欧米と比較しても良好です。
日本で腎移植が増加しない最大の原因は、腎提供が少ないためです。
脳死臓器移植法が成立していても、臓器提供に関わることから生まれる騒動に巻き込まれることを嫌い提供病院の協力が得られないこと、マスメディアの加熱報道、移植についての誤解に基づく報道などによる要素が多いように思います。
【Q6】詳しく腎移植の話を聞きたいのですが、どこに問い合わせればいいのでしょうか?
宇和島徳洲会病院 泌尿器科では、随時、腎移植に関する相談を受け付けております。
資料をお送りいたしますのでお気軽にお問い合わせください。
【Q7】腎移植後も水分制限が必要ですか?
水分制限は一切必要ありません。
のどが渇いたら、飲みたいだけ飲んでいただけます。
【Q8】腎移植後も食事療法が必要ですか?
移植腎機能を長期に良好に保つには、血圧を低く保ち、肥満を避けることが重要です。
したがって生活習慣病を予防するのに適した食事が必要です。
特に糖尿病をお持ちの方は、食事療法が重要で、血糖値を安定させるために、無炭水化物食をお勧めしています。
【Q9】腎移植後、透析療法中に起こっていた体のかゆみはどうなりますか?
腎移植によりかゆみは速やかに消失し、皮膚の乾燥感も改善します。
また、透析療法中の黒ずんだ皮膚の色も白くきれいになっていきます。
【Q10】腎移植後、透析療法中に起きていた便秘はどうなりますか?
透析療法中の食事は、水制限や、カリウムを減少させるために煮ることが多いため食物繊維も減っています。
腎移植後には水分を多くとることができ、カリウムを減らすための食品への工夫が不要となるため、便秘は解消することが多いようです。
【Q11】腎移植後、フルタイムで働くことはできますか?
腎移植手術後、腎機能が安定すると体調は非常に良好になります。
腎移植後3カ月も経過すると、以前よりも活動的になりフルタイムの仕事もできるようです。
【Q12】移植後、激しい運動をすることはできますか?
もちろんできます。
オリンピックでメダルを取っている移植患者さんもいるくらいです。
【Q13】透析療法中に起きていた貧血や倦怠感はどうなりますか?
移植腎から造血ホルモンが十分に分泌されるため貧血は改善します。
全身倦怠感は、貧血の改善とともに改善することが多いようです。
【Q14】透析療法中に起きていた心疾患や循環器障害はどうなりますか?
透析療法の不足に起因する「尿毒症心」とよばれる心筋症(心不全が主症状)は腎移植により劇的に改善し、心臓の収縮力も回復します。
また、最近の研究によると、狭心症、心筋梗塞や動脈硬化性動脈閉塞症などが腎移植患者では透析患者に比べると起こりにくいようです。
【Q15】透析療法中に起きていた低血圧はどうなりますか?
透析療法中に苦労した透析低血圧からは開放されます。
透析療法時間内以外にも低血圧で不快を感ずる長期透析患者さんは多いのですが、腎移植後には改善するようです。
【Q16】透析療法中に起きていた高カリウム血症や高リン血症はどうなりますか?
腎機能が良好な移植腎では、尿中に十分量のカリウムやリンを排泄するためカリウムやリンが蓄積することはなく正常化します。
【Q17】透析療法中に起きていた手根管症候群や破壊性脊椎関節症はどうなりますか?
透析アミロイドーシス(手根管症候群や破壊性脊椎関節症はその症状)により、いったん沈着したアミロイドは腎移植後でも除去できません。
しかし、新たな沈着はないため、進行を阻止できます。
また、腎移植後に使用する薬剤がこうした症状による痛みを除去するのに有効であるため、透析アミロイドーシス直接の除去はできませんが症状は軽減されることが多いです。
【Q18】透析を受けていなくても腎移植は受けられるのですか?
もちろん受けることができます。
最近では透析導入前に生体腎移植を受けられる方が増加しています。
【Q19】腎移植を受けるためにどのような検査をしますか?
採血、レントゲン、CT、循環器科受診、胃カメラなどです。
特別な検査はありません。
【Q20】検査や腎移植の費用はどれくらいかかりますか?
生体腎移植は保険適応になっているため、患者さんの医療費負担はまったくありません。
ドナーの検査入院と手術代はレシピエント側の保険で支払われます。
入院個室料、食事代の負担だけです。
詳しくはお問い合わせください。
【Q21】生体腎移植を受けるにはどのような手続きが必要ですか?
とくに手続きは必要ありません。
誰にも強要されない自由意思による提供者がいて、レシピエント、ドナーともに移植を希望されるのであれば移植は可能です。
外来を受診していただいて、話を進めていきます。
【Q22】透析の状況や合併症の状態にかかわらず、生体腎移植を受けられますか?
原則的には、末期腎不全であるほとんどの患者さんが腎移植の適応です。
虚血性心疾患、弁膜症、透析心など長期透析による心疾患を合併した透析困難症のある患者さんでも、術前評価にて全身麻酔が可能であれば移植は受けられます。
透析やシャントによる心負荷の軽減、移植による透析心の改善があるため、心機能が悪くても積極的に移植を行うべきだと思われます。
【Q23】病気や障害があっても生体腎移植を受けられますか?
B型肝炎キャリアの方、C型肝炎ウイルス抗体陽性の患者さんも移植に関しては問題ありません。
脳血管障害も予備能を考えて適応を決めます。
精神的に不安定であっても、術後の免疫抑制剤などの内服ができる患者さんであれば移植可能です。
【Q24】高齢でも生体腎移植を受けられますか?
できます。
80歳以上で移植を受けられ、お元気にされている方もおられます。

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